武田薬品工業株式会社

SBS:Short Bowel Syndrome(短腸症候群)

SBS Lifeは、短腸症候群(SBS)に関する情報や患者さんの生活をサポートするための情報をご紹介します。

SBS Life〜短い腸のはなし

SBS Lifeは、短腸症候群(SBS)に関する情報や患者さんの生活をサポートするための情報をご紹介します。

患者さんからの
メッセージ

鈴木宏幸さんの物語

鈴木宏幸さん

病気があって、今がある
―生きるため、働き続けるためのメンテナンス―
[キーワード] クローン病、残存小腸約180cm、人工肛門、就労、家族

 

13歳でクローン病(小腸大腸型)を発症した鈴木宏幸さんは、29歳で腸の大部分を切除し、33歳で短腸症候群となりました(大腸全切除、残存小腸約180cm)。現在は、携帯型の点滴装置を活用しながら、相談員・ケアマネとして働く鈴木さん。働くことへの思いや、ご家族との日々などについてお話しいただきました。

「まず、働こう」という強い思い

鈴木宏幸さんの物語

中学に入学してまもなくクローン病を発症しました。

在宅治療と入院・手術の日々を送りながら、高校卒業後に専門学校に進んで資格を取得し、福祉の分野で20年以上働いてきました。

現在私は、特別養護老人ホームで、相談員とケアマネジャーを兼務しています。

勤務は9時から18時で週休2日、そして月に4回から5回ほど宿直で泊まりの仕事もしています。

一日の生活の流れですが、夜寝ている間はずっとポンプで点滴から栄養を送っています。

日中も、水分を補う点滴を入れるために肩掛けのショルダーバッグを背負って、午前中は仕事をしています。

すべて、生きるために必要な「メンテナンス」

鈴木宏幸さんの物語

在宅での点滴、人工肛門のストーマの管理、必要な足りない栄養素を点滴に注入したりなど、いろいろ手間のかかることがあります。

面倒だな、と思うこともありますが、今、働き続けるため、生きていくために必要な自分の体のメンテナンスとして、いつの頃からか少し考えが変わってきました。

病院へ行くのもメンテナンス。ストーマの袋を取り替えるのもメンテナンス。

それは生きていくため、働くために必要なことと、しっかり言い聞かせて、やれていますね。

病気のことをすべて職場に話し、理解に支えられて働く

鈴木宏幸さんの物語

今の職場に入職する面談の時に、病気のことはすべて話をして、その上で採用していただきました。

そして、今の職場に入って翌年くらいに人工肛門になり、その3~4年後ぐらいに点滴が始まり、その都度、話をしました。

しかし、それでも私を必要としてくれているので、頑張れているかなと思います。

また、全体の会議の場で、「日中、こういう点滴を背負って働くよ」「宿直をしている時も、夜はちょっと点滴を入れるからね」ということをすべて、別に隠したりする必要もないので話をして、皆さんに理解をしてもらっているので、働きやすさはあります。

ただ、やっぱり入院すると穴を開けてしまうので、毎回入院するたびに、申し訳ないなという気持ちは、どうしても感じてしまいます。

病気があって今がある
―この人生につきあってくれる家族とともに

就職して2年目に結婚し、その翌年に長男が生まれました。

妻は病気のことを知った上で結婚してくれましたし、息子は、生まれた頃から私のさまざまな治療を見てきて、生活の一部だと思っています。

この病気があることで、ある意味、今があるので、病気になったこと自体、後悔も何もありません。

家族は、病気に対する理解もあるし、入院しても、何かあっても動じることがないです。 こういう人生につきあってくれて、家族にも両親にも、感謝の気持ちしかありません。

部活ができなかった自分が、長男のバスケを追いかけた12年間

鈴木宏幸さんの物語

子どもが小さい頃は、3人で毎年ディズニーランドに行きました。車で日帰りのこともあれば、泊まりで行ったこともありました。

小学校に入ってから子どもがバスケットボールを始めました。試合の応援に行ったり、遠征に同行して写真を撮ったり、ビデオを撮影したり、そういったことをやるのが、何か楽しかったな、と思います。

子どもを通して親同士の交流もあったので、それも楽しかったです。

それが12年間でした。

自分の中学校・高校時代は、病気になったこともあって、青春という青春はありませんでした。

自分が部活などをまともにできなかったので、子どものバスケを追いかけた12年間は、ある意味、楽しい思い出になっていて、よかったなと思います。

息子は、今、大学の看護学部に通っています。今までいろんな治療を見てきたので、興味を持っていたんだな、と思います。

私が福祉の仕事をしているので、その中で息子に伝えられることもあります。ある意味、会話が増えているところがあるので、私が話すことで勉強にもなっているのではないかな、と勝手に思っています。

今後、息子が大学を卒業して、手が離れてからも、働き続けるというのがまず目標です。

自分自身が、この病気を持ちながら、どこまで働けるのか。やはり自分の体力と体調と相談しながら、働き続けられるところまで働いていきたいという思いがあります。

SBS患者さんへのメッセージ

鈴木宏幸さんの物語

短腸症候群(SBS)は、見た目では分からないと思います。

日中、点滴を背負って働いている方もいらっしゃると思いますし、私の場合、人工肛門(ストーマ)もありますが、これも見た目ではやっぱり分からないものです。

そして、短腸症候群になった原因や症状も人それぞれなので、私のように働けている方もいれば、やはり働くのがちょっと難しい方もいらっしゃるかと思います。

もし、私と同じようにSBSでありながら働いている方がおられたら、「日々の体のメンテナンスを丁寧にしながら、頑張って働いていきましょう」というメッセージを伝えたいと思います。

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