田口 智章 先生
学校法人福岡学園 福岡医療短期大学 学長
/九州大学 名誉教授(取材当時)
腸管不全は短腸症候群(SBS)と小腸運動機能不全の2つに分けられます。SBSは、積極的な経腸・経口栄養管理を取り入れることにより、腸管適応を促進したり、外科的に腸管を延ばすような手術を取り入れることによって治療環境も随分向上してきました。
一方で、小腸運動機能不全(腸管蠕動不全)はなかなか治療が難しいというのが現状で、栄養療法に加え、最終的には小腸移植が治療の適応となります。
このような状況下、私たちは、早期の臨床応用を目指してstem cell(幹細胞)を使った治療法の研究開発を進めています。まだ実験の段階ですが、これが臨床で使えるようになれば、これまで治療法が限られていた患者さんの福音になると思います。
腸管不全は「食事」という生活の基本的なことに影響しますから、患者さんの肉体的・精神的負担は大きいものです。けれど、治療薬の開発は着実に進んでいます。そう遠くない将来にきっと新しい治療薬・治療方法が登場しますので、どうぞ迷うことなく、止まることなく治療を続けてください。私たちも患者さんの明るい未来ために、日々邁進していきます。