監修:大阪大学 名誉教授/滋慶医療科学大学大学院 教授
和佐勝史先生
短腸症候群(SBS)の治療
栄養療法
腸管切除の手術後、中心静脈栄養(TPN)などの栄養療法を行います。その後、残った腸管の機能が回復することによって消化や吸収力が上がると、TPNの投与回数を減らしたり、TPNを中止して経腸栄養に移行できる患者さんもいます。
たとえ長期間TPNが必要な場合は、家庭でTPNを実施することで、職場や学校に復帰することができます。これを在宅中心静脈栄養法(HPN)と呼びます。
薬物療法
短腸症候群の患者さんの切除した後に残っている小腸の腸管順応を促進し、栄養素や水分の吸収機能を改善することを目的に、ホルモン剤等を用いた薬物療法を行う場合があります。
手術
短腸症候群患者で長期のTPNを必要とする場合、腸管を延長したり、表面積を拡大するための外科手術が行われる場合があります。また、TPNを施行中に肝機能障害の進行やカテーテル感染症を繰り返す場合、小腸移植が考慮される場合もあります。
治療にあたっては、各患者さんに合った治療を主治医と相談し、よりよい生活の質を目指していきましょう。