縫 明大 先生
北海道立
子ども総合医療・療育センター
(コドモックル)
小児外科 外科部長(取材当時)
取材:2022年10月5日(水)
小児短腸症候群(SBS)は、多くが新生児期に発症し、その後、長く付き合わなければならない疾患です。また、SBS治療を開始した当初は、手術や栄養療法の導入など大変なことも多く、ご家族は大きな不安を感じていると思います。しかしながら、SBSの治療法は進歩を続け、最近は新たな手術法やリハビリテーション、薬物治療などを組み合わせることで、病状を良好にコントロールできるようになってきました。お子さんを取り巻く人々と医療者が、力を合わせて治療や成長をサポートすることで、大きなハンディキャップを負うことなく生活できる可能性も高まっていますから、私たちと一緒に粘り強く治療に取り組んでいきましょう。たとえば、入院治療を終えて、在宅での治療を前にすると気がかりなことも多いと思いますが、私たちはそうした不安を払拭できるようにトレーニングや支援の体制も整えてきました。そのなかで、ご家族が医療者と密なコミュニケーションをとりながら、それぞれの患者さんに合った治療方法を選んでいくことが大切だと思います。
また、SBSの治療が軌道に乗った暁には、「患者さんが望む人生を実現すること」も重要だと考えています。当センターでも、SBSの治療を続けながら、運動部に入って充実した学生生活を送ったり、希望する職業に就いて働いたりなど、自身の希望を叶えることができた患者さんもいます。患者さんの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら治療を続け、それぞれの人生の目標を見つけていきましょう。