監修:
おいしい健康 管理栄養士
藤田医科大学病院 食養部 係長
管理栄養士/食物栄養学博士/米国栄養サポート臨床師
一丸 智美 先生
フルーツ(果物)の食べ方・選び方のポイント
短腸症候群(SBS)の患者さんが食生活の中で特に注意したいのが、砂糖を多く含むお菓子やジュースなどです。甘いフルーツ(果物)の摂取についてはどうしたらいいか、疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。この記事では、フルーツに含まれる栄養素の特徴や、食べ方・選び方のポイントについて解説します。
フルーツに含まれる主な栄養素
フルーツには種類によって異なる栄養素が含まれていますが、一般的にはビタミンC(抗酸化作用)、ビタミンB1(糖質代謝)、ビタミンB6(たんぱく質代謝)、カルシウム・マグネシウム(骨の健康)、カリウム(血圧調整)、不溶性・水溶性食物繊維、ポリフェノール(苦味や色素の成分)などがあげられます。これらの栄養素をフルーツから一度に摂ることが可能です。
しかし、フルーツの甘さはブドウ糖や果糖という糖質に由来するため、SBS患者さんが多量に摂取すると、腸内の浸透圧が高まり、下痢を引き起こす可能性があります。
量に注意し、適切な食べ方を心がけることで、おいしく楽しむことができます。
フルーツの食べ方の工夫と選び方、意識しておきたいポイント
体調や症状に応じて、フルーツの摂取方法は変わりますが、以下では一般的なアドバイスをご紹介します。
食べ方のコツ
・フルーツは少量ずつ、よく噛んでいただきましょう。
・皮や種などは消化されにくいので、取り除きましょう。
・下痢になった場合は、食べる量を減らしましょう。
食べ方・量に気をつけたい食品
・フルーツジュースは控えましょう。特に加糖のジュースは下痢の原因になるので避けましょう。
・フルーツを加工した食品(例:ジャム、缶詰やびん詰フルーツやフルーツシロップ、ドライフルーツ、フルーツ入りヨーグルト)は、砂糖を多く使っているため、控えましょう。
・結腸が残存するSBS患者さんは、シュウ酸を多く含むバナナ、いちじくは控えましょう(※1)。
・繊維質が多いフルーツ(例:柿、パイナップル、いちじく、細かい種を含むキウイフルーツ)や酸味の強い柑橘類は、体調や症状に応じて食べる量を調整しましょう。
SBS患者さんは、残存している小腸の部位や体質によって個人差が生じます。担当医師や管理栄養士と相談しながら、自分にあった食事方法をみつけていきましょう。
1日に摂取するエネルギーやたんぱく質については、医師、管理栄養士にご相談ください。
※1 日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡学会 尿路結石症診療ガイドライン 2023年版 3 再発予防 CQ 29シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また、シュウ酸の摂取について工夫すべきことはあるか?